【2023年10月】仮想通貨で得た収益はふるさと納税にどう影響する?

ライター:

ふるさと納税マガジンは、マイナビが運営するふるさと納税をより深く理解するWEBメディアです。おすすめの返礼品の紹介や自治体の魅力などを発信します。

仮想通貨で得た収益はふるさと納税にどう影響する? ふるさと納税の知識

仮想通貨(暗号資産)で得た利益は所得として申告が必要で、税金(所得税・住民税)がかかります。
税金が増えると残念な気持ちになるかもしれませんが、儲かって税金が増えた人にこそ、ふるさと納税がおすすめ!

ふるさと納税は支払う税金額に応じて限度額が決まるので、税金が高い人ほどふるさと納税に使えるお金も増えます。

この記事では、仮想通貨とふるさと納税の関係について、

・仮想通貨はどういう所得になるのか
・所得はどのように計算するのか
・ふるさと納税にいくら使えるのか

などについて解説していきます。
仮想通貨で利益を得た年にはぜひふるさと納税を活用しましょう!

この記事の監修者

森 健太郎代表税理士・行政書士

ベンチャーサポート税理士法人 代表税理士。
近畿税理士会 北支部所属(登録番号:121535)
1977年生まれ、奈良県奈良市出身。
神戸大学卒業後、電機メーカーを経て2003年に大阪市内の税理士事務所に転職。
その後、2006年にベンチャーサポート税理士法人に入社。
ベンチャーサポート税理士法人では入社以来15年間、起業家支援一筋。
起業・会社設立に役立つYouTubeチャンネルを運営。

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仮想通貨の利益はなんの所得になる?

仮想通貨で得た利益は、雑所得になります。
※事業として認められれば事業所得になることもありますが、大半の方は雑所得になるでしょう。

「所得」には、給与所得や事業所得などさまざまな種類があり、そのどれにも当てはまらない所得を、雑所得として取り扱います。

副業収入や年金収入なども雑所得です。
なお、株式譲渡益は譲渡所得ですが、仮想通貨の利益は譲渡所得ではありませんので注意してください。

雑所得は、1月1日から12月31日までの所得が20万円以下であれば所得税の申告は不要です。
※ただし住民税の申告は必要。

副業収入や年金収入などほかの雑所得がある場合は、それらを合計して計算します。
また、20万円という基準は「収入」ではなく「所得」である点にも注意してくださいね。

計算方法については後ほど詳しく解説します。

仮想通貨の所得はどの時点で発生する?

仮想通貨の所得が発生するタイミングは、「利益が出たとき」です。
つまり、仮想通貨を買って保有しているだけでは所得にはなりません。

含み益があっても関係ないのです。
仮想通貨の所得が発生するのは、以下のタイミングです。

・売却したとき
・仮想通貨で商品を購入したとき
・ほかの仮想通貨と交換したとき
・マイニング、ステーキング、レンディングなどで仮想通貨を取得したとき
・イベントやキャンペーンで無償で仮想通貨を受け取ったとき(例外あり)

以下、詳しく説明します。

売却したとき

保有していた仮想通貨を売却して利益が出たときに、所得が発生します。

仮想通貨の売却額-(仮想通貨1単位あたりの取得額×数量)=所得額

※(取得通貨1単位あたりの取得額×数量):たとえば1BTCあたり200万円で0.3BTCを取得したケースなら(2,000,000×0.3)のように計算する

「仮想通貨1単位あたりの取得額」には手数料も含みます。

仮想通貨で商品を購入したとき

仮想通貨で支払いができることもありますが、その際にも所得としてみなされます。
考え方としては、「仮想通貨を売却して日本円に換金、日本円で商品を購入」という流れになります。

仮想通貨で得た収益はふるさと納税にどう影響する?

売却した時点で利益が出ているのであれば、商品購入の支払いに仮想通貨を使った場合でも、課税対象になるというわけですね。

支払った額(仮想通貨の売却額)-(仮想通貨1単位あたりの取得額×数量)=所得額

※(取得通貨1単位あたりの取得額×数量):たとえば1BTCあたり200万円で0.3BTCを取得したケースなら(2,000,000×0.3)のように計算する

ほかの仮想通貨と交換したとき

仮想通貨を購入する際に別の仮想通貨で支払った場合も、利益が出た場合は所得として扱われることになります。

仮想通貨で商品を購入するのと同様、仮想通貨同士を交換するときでも、一度日本円に換金しているという取り扱いになるためです。

購入する仮想通貨の時価(支払いに使う仮想通貨の売却額)-(支払いに使う仮想通貨1単位あたりの取得額×数量)=所得額

※(取得通貨1単位あたりの取得額×数量):たとえば1BTCあたり200万円で0.3BTCを取得したケースなら(2,000,000×0.3)のように計算する

マイニング、ステーキング、レンディングなどで仮想通貨を取得したとき

マイニング、ステーキング、レンディングなどで仮想通貨を取得したときにも、所得として扱われます。

・マイニングとは仮想通貨に必要な作業を行い、その対価として仮想通貨を得ること。採掘とも呼ばれます。
・ステーキングとは特定の仮想通貨を保有、預け入れすることで報酬を得られる仕組みのこと。
・レンディングとは、仮想通貨取引所に仮想通貨を貸し出して利子を得ること。

かかった費用は必要経費なので、売却額から差し引くことができます。

取得した仮想通貨の時価-経費=所得額

イベントやキャンペーンで無償で仮想通貨を受け取ったとき(例外あり)

イベントやキャンペーンなどで、無償で仮想通貨を受け取ったときは、受け取った時点で所得とみなされます。
基本的には取得に経費はかかっていないはずですので、「取得した仮想通貨の価格=所得」になります。

取得した仮想通貨の価格=所得

ただし、例外もあります。
取得した時点でまだ価値のついていない仮想通貨の場合は、価格はゼロ円とみなされるので、所得もゼロになります。

以上が、仮想通貨で所得が発生するタイミングです。

取得時に価値のついていない仮想通貨やハードフォークによる取得には課税されない

前述のとおり、無償で取得した仮想通貨は所得になりますが、価値のついていない仮想通貨であれば所得にはなりません。
また、ハードフォーク(分裂・分岐)により取得した仮想通貨も課税されることはありません。(参考:暗号資産に関する税務上の取扱いについて(情報)-国税庁

その後売却したり、商品等の購入に使用したりしたら、そのときに所得になるかどうか(利益が出ているかどうか)の判断をすることになります。

確定申告が必要?仮想通貨の所得の計算方法

ここからは、仮想通貨の所得の計算方法について紹介します。

仮想通貨で得た利益は雑所得となり、年間の所得が20万円を超えていれば確定申告が必要です。
※住民税は20万円以下でも申告が必要

仮想通貨の雑所得の計算は以下の通りです。

仮想通貨の所得=仮想通貨による総収入額 ー 必要経費

では、仮想通貨の所得における「必要経費」には、どんなものがあるのでしょうか?

仮想通貨の所得で必要経費と認められるものは?

経費としては、以下のようなものが認められます。

・仮想通貨の購入費用
・各種手数料(売買手数料、入金手数料、出金手数料等)
・仮想通貨について学ぶための書籍代やセミナー代
・仮想通貨取引に使用するインターネット回線使用料、パソコンの購入費用等

仮想通貨で得た収益はふるさと納税にどう影響する?

ただし、インターネットの回線使用料やパソコンの購入費用等については「按分」といって、一部のみ認められます。
普通は、パソコンやインターネットはいろんなことに使いますよね。プライベートで使ったり仕事に使ったりする中で、仮想通貨取引に使っている分だけを経費として計上できることになっています。

たとえばインターネット回線使用料であれば、1ヶ月のうち仮想通貨の取引に使用している時間が使用時間全体の何%にあたるかを考えて、月額料金のその割合だけを経費として計上します。
回線使用料が月額1万円で、仮想取引をしている時間は全体の10%だとしたら、1ヶ月あたり1,000円が経費として計上できるというイメージです。

仮想通貨の確定申告「総平均法」と「移動平均法」届出について

仮想通貨の確定申告では、所得の計算方法として「総平均法」と「移動平均法」の2種類があります。

いずれか一つを選び、「所得税の暗号資産の評価方法の届出書」を税務署に提出する必要があり、提出しない場合は自動的に総平均法で計算することになります。
※仮想通貨の種類ごとに届出が必要です。

それぞれの違いは以下の通り。

  概要 メリット デメリット
総平均法 1年間の平均単価で計算する ・計算がシンプル ・損益が実態とかけ離れてしまうことがある
・年末まで平均単価が確定しないので所得や税金額の見通しが立たない
移動平均法 購入するたびに単価を計算する ・損益が実態に見合っている
・その都度の計算なので所得や税金額の見通しが立てやすい
・計算が煩雑

また、下落前に購入して下落後に売却したときには総平均法では利益が大きくなり、移動平均法では利益が小さくなるという特徴もあります。
両方のパターンで計算してみると所得金額に差がありますが、「こっちのほうが所得が安いからお得!」ということはありません。

所得としてみなされるタイミングが違うだけなので、年単位での差はあっても、将来的には合計所得は同じになります。
メリット・デメリットを比べた上で、その年の所得状況もみながら総合的に判断することになるでしょう。

仮想通貨の利益で所得が増えたらふるさと納税しよう!

仮想通貨で利益があり所得が増えたら、ふるさと納税をするのがおすすめです。
よく、仮想通貨の節税対策としてもふるさと納税が良いと言われますよね。

でも実は、正確には節税対策にはなりません。

ふるさと納税はたしかにお得な制度ですが、節税しているわけではありません。
住民税の一部を自分が選んだ自治体に納めて、そのお礼として自治体から返礼品が受け取れるという制度なので、支払う税金の金額は変わりません。

それどころか自己負担が2,000円かかります。
もちろん、返礼品をもらえることを考えれば2,000円の自己負担はたいした負担ではないのですが、節税というわけではないということは理解しておきましょう。

「住民税の一部を別の自治体に納税するだけ」というイメージですね。

それでもお得なふるさと納税。
仮想通貨で利益が出たら、ふるさと納税の限度額も増えます。

所得が増えれば控除限度額も増える

ふるさと納税には「限度額」があります。
住民税すべてを別の自治体に納税できるわけではなく、基本的には自分が住んでいる自治体に納税することになります。

ふるさと納税(寄附)自体はいくらでもできるのですが、限度額を超えた分は完全な自己負担で単なる寄附となりますので、お得とはいえなくなってしまいますよね。
そのため、ふるさと納税は自分の所得から限度額を調べた上で、その範囲内で利用するのが基本。

そして仮想通貨の取引で利益が出れば所得も増えるので、それだけ限度額も増え、選べる返礼品が増えます。
ふるさと納税をしなければただ税負担が増えるだけですが、ふるさと納税をすることでさまざまな返礼品が受け取れるためお得です。

仮想通貨の収益で、ふるさと納税の控除限度額はいくら増える?

では、仮想通貨による利益で、ふるさと納税の控除限度額はいくら増えるのでしょうか?
ふるさと納税の控除限度額の計算をするには、給与所得などほかの所得も一緒に計算する必要があります。

雑所得だけで計算しようとしても、所得全体を見なければ所得税率がわからないからです。
ざっくりと計算するだけでよければ、以下の計算式を使う方法があります。

仮想通貨の雑所得×住民税10%=雑所得分の住民税所得割額

雑所得分の住民税所得割額×20%=ざっくり雑所得分で増える控除限度額

20%というのは、ふるさと納税の「住民税からの控除(特例分)」における上限で、「所得割額の2割まで」と決まっています。

実際にはほかの所得と合計して所得税率なども調べた上で計算するものなので、あくまでもざっくりの概算ということを踏まえて活用してください。

仮想通貨の確定申告をする人はワンストップ特例は使えないので注意

ふるさと納税には、便利な「ワンストップ特例制度」というものがあります。
ワンストップ特例制度とは、ふるさと納税先の自治体に申請することで、確定申告をしなくても済む制度です。

本来は所得税と翌年の住民税に分けて控除される寄附金控除が、翌年の住民税からまとめて控除されます。
会社員などで確定申告に馴染みのない方には便利な制度なのですが、確定申告をする人はワンストップ特例制度は使えません。

つまり、仮想通貨で利益が出て雑所得の確定申告をする人は、ワンストップ特例制度は対象外になるということ。

すでにワンストップ特例の申請をしていたとしても、確定申告をした時点で申請は無効になるため、確定申告をする際に、ふるさと納税の申告もしてくださいね。

確定申告をする際にはふるさと納税先の自治体から送られる「寄附金受領証明書」もしくは、ふるさと納税を申し込みをしたサイトの事業者が発行する「寄附金控除に関する証明書」が必要になるので忘れず準備しておきましょう。

e-Taxで申告する場合はマイナポータルとのデータ連携もできます。

まとめ

仮想通貨で得た利益は、雑所得の対象になります。
必要経費を差し引いた「所得」が年間20万円を超えると確定申告が必要になります。

所得が増えると所得税や住民税も上がってしまいますが、ふるさと納税の控除限度額も上がります。

ふるさと納税をたくさんすることでさまざまな返戻金が受け取れてお得なので、仮想通貨で儲けが出たら、ぜひふるさと納税をしましょう。

この記事の監修者

森 健太郎代表税理士・行政書士

ベンチャーサポート税理士法人 代表税理士。
近畿税理士会 北支部所属(登録番号:121535)
1977年生まれ、奈良県奈良市出身。
神戸大学卒業後、電機メーカーを経て2003年に大阪市内の税理士事務所に転職。
その後、2006年にベンチャーサポート税理士法人に入社。
ベンチャーサポート税理士法人では入社以来15年間、起業家支援一筋。
起業・会社設立に役立つYouTubeチャンネルを運営。

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